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自分を創って頂いた恩師の方々へ(その1)

メーカーを退職し、コンサルの世界へ入ったのが30年前。そこでさっそく立ちはだかったのが、意外にも論理的思考力。入社間もなく、直属の上司である専務に「君の話には論理性がない」と言われ、論理性がないとは、貴方は頭が悪いということ?と大変、ショックを受けた。メーカー時代は、現場の実態や改善の報告書を提出することが主な仕事。大事なのは誤りがないことだった。そこでは数値の誤りを指摘されたことはあったが論理性を問われることはなかった。ある意味、数値やデータの正確性が私という人の信頼性に相当した。

以来、採用面接官でもあったその上司に「何としてでも自分を認めさせてやる」という思いから口頭や書面など報告の場において常にこの論理性という視点を念頭に対応した。まずは、「このような課題があります」。ここは(長いと聞く耳をもたないだろうから)ダラダラとではなく、限りなく簡潔に報告だ。その後、「あなたはどうしたいの?」とこちらの意見を聞いてくるだろうからいつでも自分の意見は用意しておこう。さらに「なぜそう思うの?」と追求してくるだろうから、ここで論理性の勝負だ。自身の判断を正当化しうる客観的な裏付けやデータを根拠として挙げる。毎日、毎回これを繰り返す。するとある時、上司の見方が変わった。自然と自分の意見が通るようになったのである。

そして株式公開の関係で研究していたコンサルティングなどのサービス業における原価管理というレポートを提出した時の事である。上司から達筆な字で「大変興味深い、今後じっくり話をしよう」と返答があった。最高の誉め言葉と感じた。「やった、やっとここまできた」涙があふれるほど嬉しかったのを覚えている。以来、私は常に自分の話や文章は果たしてロジカルか、ということを念頭におき物事に接する習慣がついた。

先日、20年前に私が講師をした研修の受講生と食事をする機会があった。「あの時の保木本さんから受けた学びは、厳しい研修の中、他の先生と若干異なり、理論的で的確な指導で、私の基礎を作ったことは間違いありません。その学びが生き、ここまでこれたと思っています」とおっしゃっていただいた。これも上司、恩師のお陰。心から感謝です。

自分に対して否定的なことを言われたら、感情的に言い返すのではなく、相手が認めざるをえないよう自分づくりに励むこと。その大切さを教えて頂いた恩師の一人、物の考え方には極めて厳しいが人思いの笑顔の素敵な上司だった今給黎 勝さま。本当にありがとうございました。

保木本 正典

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