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時代が求めるタテ・ヨコ・ナナメからの学び

最近、よく経営者の方々から「上司がどのようにして部下を教えたらよいか悩んでいる」といった内容の話を聞く。自分たちと育った環境や価値観があまりにも異なっており、部下の本音と噛み合わないらしい。本質は、上司と部下の意識ギャップと思われる。上司と部下に関するアンケート調査は数多くあるが、Chatworkが2023年2月21日〜3月7日にアカウントを持つ20代~70代の男女(回答1438名)に対して行った「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」https://bizx.chatwork.com/1on1/communication-1on1/でも同様な傾向が見られるようだ。

お互いに個人面談を通じたコミュニケーションの価値は感じているもののその期待は異なる。「個人面談でよく話す内容」に関しては、業務の進捗や進め方がトップで80.7%、続いて会社や組織の方針が42.6%だが、一方で「部下が個人面談で話したい、話すべき内容」では、業務の進捗進め方71.2%のトップは変わらないが2番目は今後のキャリアが54.1%となっている。ましてや本音で話せると回答した人の割合は16.6%にすぎない。今一度、コミュニケーションのあり方や指導の仕方を考えてみる必要がありそうだ。

面談の目的は、確かに方針の徹底や目標管理の進捗管理など多々あるが、その前に必要なのは信頼関係の確立。であればまずは、100%部下のための面談を優先すべきではないだろうか。部下のニーズは様々な調査で既に明確である。例えば、「自分の話を聴いて欲しい、悩んでいることに相談にのってほしい、自分のキャリア形成に具体的なアドバイス(自分が努力すること、会社や上司が協力してくれることは何か)が欲しい」である。それらを通じて信頼関係が築かれれば部下は上司を信じてついてきてくれるし、何度も言われなくても方針や目標には真摯に向き合ってくれることだろう。

さて、面談だけでなく教育研修なども工夫したいところである。一般的に多いのが組織をヨコに切った階層別研修。これは同じ境遇の者同士が役職に見合った役割をどうリーダーシップを発揮していくか、など確かに重要な意味をもつ。ただし、仕事の多くは部門やチームを単位として動くことが多く、そこでは部下との関係が重要な意味をもつ。つまり上司が集まって部下指導の仕方をディスカッションしてもそこには部下の思いはないということ。私は併せて部門をタテに切った部門別研修をもっと行っていくべきと思う。上司と部下が一緒になって組織の課題を解決していくのである。そして次はさらに踏み込んで組織をナナメに切ったクロス研修、即ち他部門の上司と部下がコミュニケーションしながら課題に向き合うというのはいかがであろうか。

タテの関係とは、身近な上司などとの垂直関係であり、この関係は従うか従わないかの二者択一。ヨコの関係とは、同僚など同じ立ち位置の水平関係であり、価値観が同じ者同士だけで同質化してしまう。そこでナナメなのである。他部門であれば上司と部下もさほど利害が対立せず、お互い素直に聴けるかもしれない。

新しい時代である。コミュニケーションや教育には、もっと新しいやり方が必要だ。

保木本 正典

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