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何をもってコスト意識か

よく「コスト意識を高めよう」などといったことをお聞きするが、どこまでのコストを意識した発言なのだろう。おそらくコストを狭義に捉えて単なる経費削減を指しているのではないだろうか。

ご承知の通り、コストの3要素は、材料費・人件費・経費。ちなみに材料費は、単価(買い方)、使用量(使い方)、仕様(作り方)で決まる。一方で人件費は、賃率と所用時間で決まり、最後の経費も直接間接、物流費や金融費用など分類によって対処法が変わる。実際、先ほどのような「コスト意識を高めよう」という意図の多くは、この中の材料費と経費を指していることが多い。

ところで私は、これからのコスト管理の基軸は間違いなく人件費になると思っている。メーカーであれば、製造原価(原価認識)で直接作業者の人件費は把握しているが、それでも販売費や一般管理費に含まれる営業部門やバックヤードの方々の人件費はザックリとした総額管理にとどまっており、事業別まではなんとかなるが、商品別や受注案件別の人件費把握は十分ではなく、いわば何が儲かっているのか把握することができずに経営が行われていることが多い。

今や物価高騰により材料費と経費の削減は極めて厳しい状況にあるが、一方で賃金も企業規模を問わずかなりの上昇基調にある。重要なのは賃金に見合った働きになっているか、つまりは人的生産性に着目し、総額ではなく事業や商品、案件別に細かく把握し、対策を講じていく。材料費や経費と比べて未だ研究が途上なのか、関心が薄いのか、日本はこの生産性の低さを常に指摘されている。

またメーカー以上に卸やサービス業では人件費のウエイトが大きく、その把握とコントロールなくしては経営上の採算は見通しがたいものになる。私の経験上、1時間あたりの賃率は、6000円から9000円(固定費回収含む)。皆様方の会社の賃率はいかがでしょうか。一人当たりの生産性目標はどのように設定されていますか。生産性向上に対して具体的にどのような取り組みをされておられるでしょうか。

アフターコロナ、新たな時代です。DX、AIと叫ぶ前に、目の前の課題である人件費をコストコントロール出来てこそ、人的資本価値を高めることにつながります。人件費は上がるのではなく、(採用力、競争力を高めるためにも)上げなくてはいけない。加えてそれに見合った付加価値を確保し、高生産性の経営を推進する。

さあ新たな一手を打っていきましょう。人件費や人的生産性なくしてコスト意識は語れません。

保木本 正典

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