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性悪説

厳しい時代の幕開けである。厳しい時代だからこそ企業においては部下に、家庭においては子供に対して自然に厳しくなるというもの。ところでそもそも私は「人間と言うものは何もなければ怠けようとする動物である」という考えをもっている。だからこそ道徳や規則が必要だとも思っている。何もなければ堕落すべきであろう人間が世の中で経験をつみ、理性をもって物事を判断できるまでに成長する。まさしく人の善の行為は後天的習得によってのみ可能とする性悪説の考え方である。厳しく言わなければ部下は動こうとしないと思うのか、作業環境さえ用意すれば自発的に人はやる気を出すと思うのか?現実的には、前者のケースが多いのではないだろうか。何度、同じことを言わせるのか!一向に指示待ちの姿勢が変わらない。そういったことを経営スタッフから耳にすることが実に多いことか。もちろん、事細かに観察すれば人の成熟段階によって多少なりとも前者から後者へと移行していくということは理解できるのだが。

保木本 正典

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