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上げて活かす人件費

昨今、モノの値段は世界的なインフレや円安等により高騰、加えてヒトの賃金も昨今の人手不足により年々、上昇基調にあります。このような中、トータルコスト優位性の確立を目指して各社は、材料費や経費はもちろんのこと、生産性の向上を目的とした人件費マネジメントに着手されています。「御社のスタッフ生産性は昨年に比べてどのくらい向上していますか?」「生産性基準となる社員一人1時間あたりのチャージの目標と実績、そのための対策はいかがですか?」「それらの生産性はどのようにして人事考課に反映されていますか?」これからの人的資本経営時代を考えると即座に答えていく必要があるだろう。

ところで、「人件費とは、上がるものではなく、(採用力、競争力を高めるためにも)上げなくてはいけないもの」です。企業は、社員が価値発揮が出来るよう出来得る限りの環境投資(採用・育成・活躍・評価)を行い、その中で育ち活躍する社員が新たなる付加価値を生み出す。企業はさらにそれらを原資に再投資を繰り返していく。これこそが人的資本経営の醍醐味である。

さて、それらを志向しつつ、さっそく私達が着手していけることはないだろうか?

あります!それは目の前の仕事を見直すことです。これまで徹底して原価削減に取り組んできたモノづくりに比べればオフィスワークは未だ無駄の温床です。ある資料づくりにAさんは3時間かかり、Bさんは1時間で終る。といったことも日常茶飯事です。

ではどうすればよいのでしょうか?

私は、仕事の品質基準と効率的な手順の共有化ではないかと思います。まずは組織的な品質基準の設定です。社内資料をそこまで綺麗に仕上げる必要はあるのか、データだけが欲しいのであればメモで十分ではないか。品質不良はプロが行う仕事としては不適格ですが、品質過剰もコスト高という点から経営的には見過ごせません。 続いては、効率的な手順の共有化。実際、現場での仕事の一つ一つは担当者任せになっていることが多いものです。時間に余裕のある人はゆっくりと、一方で多忙の人は実に時間の使い方がうまい、時間を貴重に使います。趣旨目的をおさえて最小の時間でどう品質基準をクリアするか、これらを常に頭で描き、後は体が自然に動く。仕事が出来る人のやり方に学び、それを標準にしましょう。それが早い。

さあ、いよいよ本格的な人的資本経営の時代が始まろうとしています。大局着眼ながら小局着手。出来ることから進めていきたいものです。

プロフェッショナルマインドセット: 企業価値が飛躍的に向上する人的資本改革

保木本 正典

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