部下指導の一環で個別面談をする際に、いつも思い浮かべる文章がある。それがグレン・ヴァン・エカレン著の「豊かな人間関係を築く47のステップ」だ。
話を聞いてくれと言うとあなたは忠告を始める。私はそんなことを頼んでいない。話を聞いてくれと言うとそんな風に考えるものじゃないとあなたは言う。 あなたは私の心を踏みにじる。
話を聞いてくれと言うと私の代わりに問題を解決してくれようとする。私が求めているのはそんなことではない。聞いてください。私が求めているのはそれだけだ。何も言わなくてもいい。何もしてくれなくていい。
ただ私の話を聞くだけでいい。忠告など安いものだ。新聞を買うお金さえあれば、いろんな有名人が人生相談に答えている。それくらいは自分でできる。
たしかに少し弱気になり、迷ってはいるが、それくらいなら自分でできる。だから、ただ私の話を聞いてください。そして、もしあなたが話したいのなら自分の順番を待っていてください。そうしたら、私もあなたの話を聞きましょう。
「聴く」ということの大切さ、意思疎通の奥深さを改めて考えさせられる。「聴いてくれてありがとうございます。何かすっきりしました。」誰にでもこのような経験はあるものだ。
しかしながら、本当に聴くだけで良いのだろうか?その人は、前に進むことが出来るのだろうか?私は、職業上、常にビジネスライクで考える癖があり、問題解決のない傾聴は、やがて行き詰まると診てしまう。私は、最初は聴くことで信頼関係を築き、そこからはロジカルに問題解決すべきと考える。そこでまずは傾聴だが、これは積極的傾聴法(Active Listening)が実に有効である。
ポイントは以下の3点。
(1)(積極的に聴いていることを相手に伝える)体を相手の方に向け、相手の目を見る。つまりは、聴く姿勢である。よく書き物をしながら聞いている上司がいるが、これでは聞いてやるから言ってごらんという態度に写ってしまう。手を止めて相手と向き合うべきだ。
(2)(貴方の話は十分に理解できているということを表現する)聴いたことを言い返す、あいづちを打つ、確認の質問をする、である。
これでますまず相手の話は、止まらなくなるでしょう。後で「こんなことまで話してしまいました」となり、それは貴方に心を許した証です。
(3)(まとめる、もしくは展開する)
以上(3)は、かなり高度であり、場合によっては(2)に留めておいてもよいかと思います。ただ、問題解決に移行するのであれば次の面談では、(3)をおさえて。おきたいですね。