これまで数多くの社長と共に経営理念を策定してきた。経営理念は、企業経営の原点であり、心の拠り所である。道に迷ったらまたここに戻ればいい。それだけに決して間違えてはいけないのがこの道づくり、企業経営の原点づくりだ。その骨子は以下の4点である。まずは、
(1)企業コンセプト
一言でいえば、世の中にどのような会社としてイメージされたいか。どのような事業分野に身を置き、どのような顧客価値を提供し、結果どのような会社として位置づけ、印象づけられたいのかである。続いては、
(2)企業使命感
わが社は何のために存在しているのか。企業の活動は、ヒト・モノ・カネという経営資源を使って事業や商品、収益を創り出していくが、その資源全ては社会から授かったものだ。つまり企業は、授かった資源を世の中に有益なものに転換、創造していく責任を担っている。だからこそ社会的貢献を求められる。収益性のみを追求していると社会性とのバランスが崩れ、やがては立ちゆかなくなるだろう。この企業体という特異なる性質を見誤ってはいけない。3点目は、
(3)経営姿勢
トップの経営に対する取り組み姿勢。創業の精神、信念や哲学である。リーダーシップの本質がここにある。先代が残した良きものを継承し、時代に合わせて変えていく。後継者がこの判断を誤り、変えてはいけないものを変え、変えるべきところを変える決断を躊躇するあまり、環境適応出来ずに倒産していくケースを多く見てきた。そう考えると本項目も後の経営に及ぼす影響は大きく、決して言葉遊びでは済まされない。
最後に、
(4)行動規範
会社が従業員に期待する行動や言動、考え方である。指針や行動訓などと呼ばれることもある。これは、創ることよりも実践することの方が数倍大変である。具体化し、モニタリングし、評価しなければ決して浸透はしない。「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ」というある方の格言の重さをこの時こそ感じたことはない。
いよいよアフターコロナ、ニューノーマルな時代。その幕開けを前に今一度、経営理念を見直してみるのもよいのでないだろうか。
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